上士幌町 移住者の声
上士幌町 移住者の声

小・中・高校を隣町の士幌町で過ごした長谷川さんが、20年以上住んだ東京都から上士幌町に引っ越してきたのは2021年のことだった。

移住をしようと考えたのは、コロナ禍で隣町・士幌町に住む母親に孫である娘さんの顔を見せられていない期間が4年にもなり、このままでいいのかと思い始めたからだそう。最後に母親と娘さんが会ったのは4歳か5歳。この時期の子どもの成長は大きく変化するし、一番かわいい時。もっと母親と娘を会わせたい、と強く思った。そこで家族3人で家族会議を何度も行い、移住を決めた。そしてまずは母子2人で移住をすることになった。

長谷川さんは東京で、主にがん患者さんとその家族と関わる看護師として働いていた。移住先では地域密着の看護職があるか、そして住まいを同時に探した。仕事はネット検索をしたり、気になった職場に電話で状況を聞いたりしたそうだ。住まいも町のホームページや上士幌コンシェルジュのホームページを見ては実際に電話をして探したそう。そうするうちに社宅のある社会福祉法人上士幌福寿協会の求人を見つけ、仕事と住まいを同時に見つけることができた。
移住を決めてから引っ越しするまでの2か月、職場に退職の意思を伝え、引継ぎ開始。引越しの見積もりは3社にしてもらった。そこで北海道への引っ越しは高額なだけでなく、荷物がその日のうちに届かないことを知り、荷物が届くまでの4,5日間どうやって過ごすかも考えた。コロナ禍ということもあり、引越し前のPCR検査の予約もした。

あっという間の2か月だったが、こうして上士幌町での生活が始まった。
社会福祉法人のデイサービスで働く中で、平均90歳前後の方々と接しているのだが昔、畑仕事をしていた方が多いからか、90歳でも自力で歩き、100歳でシルバーカーを押して歩くくらい健康な方が多いことにびっくりしたそう。自分自身は東京で働いていたときに喘息になってしまったものの、上士幌に来てからは症状が落ち着いているという。

東京での便利な生活に慣れていたので上士幌に来てから不便さを感じることはもちろんあったそう。町内のスーパーは18時か19時で閉店してしまうため主な買い物は車で30分かかるところでまとめ買い。今はネットショップもあるし、トドックという食品の宅配サービスも利用してやりくりしている。また、近所に100円ショップが無いので簡単に文房具が買えないことにも困ったが、あるもので工夫したりすぐに買えないことを前提として動くようになったという。

不便さは考え方や工夫次第で何とでもなる。それよりも静かな環境でストレスが減り、自分の時間を大事にしたり穏やかな気持ちで過ごせるのがうれしいと言う。ただ娘さんは、町中に歩いている人が少なすぎて最初は怖がったり、以前に住んでいたところはひっきりなしに救急車やバイクの音がしていたので上士幌の静かさには、慣れるまで逆に少しの音に敏感になっていたという。家から小学校まで1.8キロの道のりを歩くことでいつの間にか体力がつき、親子ともども健康になったと感じるそう。

子どもには、大きくなるまでに伝えたいことがたくさんあると長谷川さん。だが、移住してきて、娘さんは親や教科書から教わるだけでなく、周りの方や自然からたくさんのことを学んでいると感じているそうだ。
長谷川さんは長く北海道を離れていた。だからこそ分かることもあると思うので機会があったら是非まちづくりに参加してみたい、とも言っていた。


★プロフィール

小・中・高を士幌町で過ごし、20年以上東京で暮らす
2021年11月 上士幌町に移住