「夏にここに来ていたら住んでいないかもしれません。夏は違う地域で生活体験をした後、冬に上士幌に来てみたら良いなって思った。移住を考えたら冬の体験は欠かせないですよね。住んでみて住めるって分かってからは、どんどん色んなことが繋がって、今に至るというところでしょうか」
移住を考えた時、平野と太陽を感じられる場所が良いと選んだのが北海道・十勝。2014年の冬にやってきた藤田さんご家族。12月下旬の生活体験の時から、智哉君は小学校に通えるように『区域外通学』を利用した。移住するときの重要ポイントに「子どもが学校になじめるかどうか」は重要だ。そんな心配をよそに友達は増えていき、学校は楽しい場所になった。
これなら大丈夫。
そのまま移住手続きを取り、2015年3月には公営住宅に入居した。
それから淳一さんと千夏さんも仕事を探し始める。淳一さんは町長の一言で大型免許所得者という情報が伝わり、町のタクシー会社に採用が決まった。千夏さんもいくつかお手伝いをしながら、スーパーの採用が決まる。
「順調すぎて怖い」と笑う。
体験中に毎月移住者の方が中心に集まる「誕生会」に参加して、幅広い年齢層の先輩移住者の皆さんが相談に応じてくれた。それも移住決定への大きな要因になったという。
町にも慣れてきたけれど、暑すぎる冬の施設内に困り「こっちの人は寒がりなんや」と思ったら、涼しい夏に半そで姿とか驚きはある。けれどきっと慣れると色んなことが自然になるのだと。車で移動する人が多い中、歩く雪道に自分だけの足跡を見て、ニンマリ得した気分。こういう楽しみも北海道だから味わえる。
春から4年生になった智哉君は野球部に所属。夏は真っ黒になるまでボールを追いかけた。今年の地区大会では優勝もした。冬は昨シーズン体験したスキーを楽しみたいと密かに闘志を燃やす。
「いつまでここに居るかなどはあまり考えず、気負いせず暮らしたい。子どもも成長とともに町を出てしまうかもしれない。分からない未来より今を家族で楽しく暮らせることが一番です」
★藤田淳一さん・千夏さんご夫婦 プロフィール
大阪府豊中市から2015年3月移住