5人揃って初めての冬2021

倉嶋さんご一家は5人家族。夫の淳さんは現在起業準備中、妻の香菜子さんは地域おこし協力隊として、小さなお子さんを持ったお母さんを特に支援している。そして3人の男の子は小学校に通っている。
そんな倉嶋さんご一家が大阪から上士幌町へ移住されたのは2020年のことだった。

大阪では淳さんは整骨院を経営。香菜子さんは保育士をしながら子育て世代に向けた講座や講演会を行ったりと忙しくされていた。
初めて北海道を訪れたのは2019年の7月。その直前に当時小学5年生の長男が喘息で入院していたという。
初の北海道に初十勝、車中泊での旅行を約1週間、その間、色んなところをまわったが、1,2日の予定が4日も滞在したくらい気に入ったのが上士幌町だった。雄大な自然に素晴らしい景色。そしてなんといっても
「長男に、喘息症状が全く出ない」これは驚きだったそう。

旅行から帰ってきて1か月後、9月には移住に向けて動き出していた。
自分たちで上士幌町のことを調べ、大阪で催された移住フェアにも参加した。そして、移住する上で不安な、冬の生活を体験するために本気の移住体験をしたのだった。

移住体験中は雪道での車の運転を経験し、移住後のことも見据えて、役場、公共施設へどんどん出掛け、知りたいことを色々質問して回り、滞在中に出来る限りの情報を集めることに尽力したそう。そして、子どもたちが続けているバスケットボールではチームを見つけ、練習に参加させてもらえることにもなった。

また、これまでの経験を活かせる職種で、募集を行っていた地域おこし協力隊の面接を受けることにもなり、見事合格。同じ年の春までには母子の移住が完了、淳さんは大阪での仕事を整理してからの合流となった。

移住体験ではない、移住生活が始まった。
職場は町内なのでほとんど通勤時間がなく、仕事も定時で帰れるので必然的に家族との時間が増えたのがうれしいそう。公共施設は無料開放しているところが多いので存分に遊べる。プールに体育館にスケート場、パークゴルフもやろうと思えばいつでもできる。大人も子どもと一緒に体を動かせる。
子どもを連れて町にいると色んな人が声をかけてくれ、その声が本当に優しい、と香菜子さん。子どもたちも「ここの人たちって優しいなあ」と言っているそう。
3人の可愛い息子さんたちは小学校にもすんなり慣れ、上士幌生活を楽しんでいる。香菜子さんは持ち前のバイタリティーで地域おこし協力隊の仕事の傍らSNSで上士幌町をPRすることも欠かさない。

倉嶋家全員に共通するのは「明るく、人懐っこい笑顔」。その笑顔でどんどん町に溶け込んでいっている印象。
田舎に行ったらただで野菜がもらえる等は、誰にでもそうであると思いがちだが、かなり違う。知らない人には冷たいかもしれない。
倉嶋家では、近所の方に野菜をもらうこともあれば、お下がりの自転車までもらった。起業のための物件も町の方からの紹介だった。
これらは町の人にとって「知らない人」には手に入れられないもの。町で暮らし、町の人に自分を知ってもらったからこそ得られる縁。そして、「絶対にもらいっぱなしにしない」香菜子さんが言っていた。迎える側と迎えてもらう側という壁。町の人にも、移住してきた倉嶋さんご家族にもすでになくなっているのかもしれない。

風邪すらひかない三兄弟
すべて手作りのいただきもの


★倉嶋淳さん、香菜子さんプロフィール
淳さん…2020年7月に移住、香菜子さん…2020年2月に移住。
大阪府三島郡から北海道上士幌町へ家族5人で移住。